令和8年2月12日
一般社団法人日本FA代理店協会
顧客本位の業務運営の真の定着に向けた構造改革への提言
――小規模優良代理店の視点から保険・金融業界の健全な発展を問う――
はじめに
一般社団法人日本FA代理店協会(JFAAA)は、金融・保険業界において、絶え間ない研鑽を通じて良質なサービスを提供する優良なFA・代理店を育成するとともに、お客様本位で活動するFA・代理店の意見を集約し、業界ならびに社会の成長・発展と国民の安定的な資産形成に資することを目的として設立されました。
現在、業界で多発している不祥事の多くは、売上至上主義に陥りやすい大規模な組織的代理店で発生しており、組織の大型化が管理監督の限界を招き、不祥事の温床となっている実態があります。我々は、顧客との長年の信頼関係を礎に活動してきた小規模代理店こそが真の「顧客本位」を体現していると自負していますが、現在の画一的な規制は、こうした優良な小規模代理店に必ずしも適合したものではないとの課題意識を有しています。
本提言は、サービスの質が正当に評価される業界への構造改革を求めるものです。
1.小規模代理店に即した体制整備のあり方の検討
現在の「体制整備」の要求は、小規模・個人代理店の実態を無視しています。本来、内部ガバナンスとは、代理店主が多数の募集人に販売させる際に生じる各種のリスクを制御するための手段です。代理店主自身や店主と同等の高い倫理性を持つ募集人が直接活動している限り、多層的な管理体制は本質的に不要だと言えます。営業部門から独立した担当者の配置を求めるような「高度化項目」は、小規模代理店には物理的に困難であるとともに、これが手数料ランクに直結する現状は、大規模代理店を優遇し、良質な事業者を排除する結果を招いています。我々は、小規模・個人代理店の実態に即した体制整備のあり方の検討を進めるべきと考えます。
2.比較推奨販売の公平性と評価体系の抜本的見直し
保険会社が課す「維持基準」や「手数料体系」は、公平な比較推奨を阻害しています。年間販売量に基づく「業務委託維持基準」は、基準達成のために顧客にとって最適でない商品を勧める温床ともなっています。また、特定の第三分野商品の販売をランク要件とする施策や、大規模代理店への出資、セミナー依頼を通じた特定社商品への誘導は、市場の公平性を歪めています。我々は「販売量」偏重の評価を撤廃し、定性的な評価に基づく手数料体系への移行を強く求めます。
3.地域密着型FA・代理店の育成と金融アクセスの確保
国民の資産所得倍増には質の高い専門家が不可欠ですが、現状、IFA事業者は東京都に突出して集中しており、地方の金融アクセスは不十分です。新規参入を志す実務者にとって、当局の登録申請期間や証券会社の厳しい取引条件が、独立を妨げる壁となっています。我々は、一定の要件を満たす優良な実務者に対し、地域密着型事業としての登録を機動的に承認する優遇措置を提案します。また、金融経済教育推進機構(J-FLEC)との協業を通じ、現役の実務者が中小企業等で具体的な助言を行える体制を整えるべきだと考えます。
4.実効性のある自浄作用の構築と透明性の確保
不祥事防止には、形式的な書類管理ではなく、実効性のある抑止力が必要です。小規模な実務者集団は個々の行動が透明化されやすい特性を持っています。我々は、法令違反が発生した際、事業者名だけでなく募集人個人の氏名や処分理由を公表する仕組みを提案します。これを通じて個々のアドバイザーに強力な自制を促し、プリンシプルベースでの運営と、不適切な販売への厳罰化を組み合わせることで、業界全体の自浄作用を確立します。
まとめ
保険会社や監督官庁が大規模代理店を念頭に置いた行政・管理を行うのは、個々の小規模代理店を直接管理することに伴う膨大な「管理コスト」を考慮すれば、一定の合理性がある側面は否定できません。そのため、JFAAAは、本提言の推進とあわせて、ガバナンスと教育の両面において、集合的役割を担ってまいります。
JFAAAは、業界ならびに社会の成長・発展と国民の安定的な資産形成に資するべく取り組んでまいりますので、関係各所におかれましては、本提言をご斟酌いただけると幸甚です。
